フィルムカメラである程度撮っていると「この状況なら露出はこんなもんかな?」と、自分のパターンみたいなものが出来てきます。

そうなると露出計を使う必要が無く工程が1つ省かれるので、よりスムーズに撮影を行う事が出来ます。

そればかりではなくフィルムカメラを買う時も、欲しいカメラの露出計が壊れていたり元々露出計が付いていなかったとしても気にならなくなります。

露出計を使わずに、いわゆる「勘露出」で撮るというのは何気にメリットでもあるのです。

そこで今回は勘露出で写真を撮るコツをお話したいと思います。


コツはズバリ基準となる露出を覚えて、そこから微調整する事

僕のフィルムカメラのデビューは「写ルンです」でした。

写ルンですの露出は「ISO400/F10/140sec」で、これをキリの良い数字に直すと「ISO400/F11/125sec」になります。

しばらく写ルンですで撮っていたので、「ISO400/F11/125sec」だとどれくらいの明るさの写真になるかが大体解ります。

ですので一眼レフで初めて勘露出で撮った時は写ルンですの露出を基準にして天候等の状況に応じて明るめにしたり暗めにして露出を変更していました。(昼間なら大体ちゃんと写っています)

勘露出のコツというのは、基準となる露出を設定し、それを軸にその場の明るさに応じて露出を微調整するという事です。

写ルンです露出の基準はあくまで晴れの日の昼間にだけ対応出来るもので、これが室内や夕方~夜の撮影になると極端に露出が違ってくるので全く対応できませんでした。

ですので現在はそれぞれの時間帯に応じて基準となる露出を設定し撮影を行っています。

参考までにご紹介します。


各時間帯ごとの、基準となる露出

現在基準にしている露出は「晴れの日の屋外」「室内・屋内」「夕方」「夜」の4パターンがあります。

ISO100以外のフィルムで撮ったものもありますが、全てISO100に換算しています。


晴れの昼間の屋外 F8/60sec


何を持って「晴れ」とするかは曖昧な所ですが、分厚い雲に覆われていなくて空が見えていれば一応晴れという事にしています。

これを基準に影の濃さや雲のどんより具合、そして太陽の直射具合によって露出を調整します。


F5.6/60sec

良い天気とは言え、完全に影になっている所だったので1段明るくして撮りました。




f16/125sec

逆に太陽の光をモロに浴びている状況では、この基準では明るすぎるので3段も暗くしています。

こんな感じで基準から「プラスマイナス何段」という具合で調整していきます。


室内・屋内 F2.8/60sec


太陽の光が入ってこない室内では急に光が弱くなるので、新たに基準を設ける必要があります。

屋内や室内の場合はコンビニくらいの明るさで「F2.8/60sec」を基準にしています。

室内や屋内の中でコンビニはかなり明るい方なので、たいがいは基準よりも更に明るく撮る事が多いです。


f2.8/60sec

光が弱い商店街では基準だとこんなに暗くなってしまいます。




f2/60sec

基準より1段明るく撮りました。確かに明るすぎても雰囲気が無くなるのでこんなもんじゃないでしょうか。


夕方 F2.8~F2/60sec


夕方の撮影が一番の曲者で日が完全に沈みきっていない分、空が明るいので明るく撮りすぎると空が真っ白になったり、逆に空に露出を合わせるとそれ以外の部分が暗くなりすぎたりします。

ですので空が入る場合はF2.8、入らない場合はF2を基準にしています。


f2.8/60sec

露出的に言えばまだまだアンダーですが、これくらいの方が夕方の雰囲気が出て良い感じです。




f1.4/60sec

明るく撮りすぎましたね。実際はもっと暗く、街灯や玄関先の電気が付いているのに周りは何故か明るいという不思議な感じになってしまいました。


注意点:夕方は暗くなっている事に気付きにくい

夕方の撮影が曲者なもう一つの理由が、この時間帯は刻一刻と暗くなっているので10分前と10分後では明るさが全然違うという事も珍しくありません。

それでも人間の目は優秀なのでそれに対応してくれます。ですのでいつの間にか暗くなっているという事に気が付きにくく、暗い写真が量産されてしまうという事もよくあります。


あまりに暗くなりすぎて、スキャナーもどこで区切れば良いのかが解らずに隣のコマもはみ出てしまっています。

ですので、気持ち明るめで撮るように心掛けましょう。


夜 F1.4/60sec


夜の基準は「F1.4/60sec」なのですが、これはISO100の場合はこれが限界なのでそうせざるを得ないというのが本当の所です。

しかも昔のレンズだと開放が3.5とかもよくあるので、そういう場合はISO400とかISO800のフィルムを使った方が無難だと思います。

それでもISO100でも撮れない事はありません。↓


f1.4/60sec

まんべんなく光源がある↑の写真くらいで、だいたいこんな感じです。




f2/60sec

強い光がある場合は1段か2段くらい落としても良いと思います。




f2.8/60sec

ギラギラのネオンは2段くらい落としてもOKです。




ISO800/f2/60sec

高感度フィルムで基準から更に2段明るくしました。実際はほぼ真っ暗です。


終わりに

一応色々な状況下での基準となる露出をお話しましたが、これはあくまでも僕自身の基準なのでこれを元にご自身でやり易いやり方があればどんどんアレンジしていってください。

勘露出というのはネガフィルムのラチチュードの広さがあるからこそ出来る事で、ラチチュードが狭いリバーサルフィルムでやるのはオススメできません。(やられている方もおられますが…)

勘露出は日によって鈍ったりズレたりもするので、厳密な露出が必要場合は露出計を使いましょう。
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