ミノルタのSRT-101は当時、かなり売れたカメラですので今でも中古市場にかなりの数が出回っています。

が故にお値段も安く、フィルムカメラを始めた最初はお試しのつもりでこのカメラを選ばれる方も多いと思います。(ミノルタのレンズは「安くて良い」で有名なのでおすすめです)

ただ、50年前のカメラなので初めてフィルムカメラに触った人からすれば色々ハードルが高い所もあります。

僕自身もこのカメラを戸惑いながら使い始めて、ある程度の時間が経ったので、今回はその経験を踏まえミノルタSRT-101の使い方ガイドを行いたいと思います。


まずは全体的な説明

SRT-101に限らず一般的なフィルム一眼レフカメラに共通する所ですが、まずは各部分の紹介をしていきたいと思います。


1巻き戻しノブ
ここを引っ張ると裏蓋が開き、全部撮り終えた後はここを回してフィルムを巻き戻します。
2シャッタースピードダイヤル
このダイヤルでシャッタースピードを設定します。デジカメみたいに細かく設定する事は出来ません。
3ISO設定ダイヤル
シャッタースピードダイヤルを上に引っ張りながら回して設定します。露出計にきちんと情報を伝える必要があるので必ず設定しましょう。
4巻き上げレバー
シャッターを切った後、次のコマに送る時に使用します。
5フィルムカウンター
現在フィルムを何枚撮っているかを表示するカウンターです。三角印が「5」を指していたら5枚撮りましたよという事です。




6ミラーアップレバー
一眼レフというのはカメラの中に鏡(ミラー)が入っていて、そこに写ったものがファインダーを覗いた時に見えるようになっています。そしてシャッターを切った時はそのミラーが上に跳ねてその後ろにあるフィルムに光が焼き付くいて写真になるという仕組みです。ミラーが上に跳ねる分スローシャッターで切れば切る程その振動でブレが生じる事があります。このミラーアップレバーはそれを手動で上に上げるもので、主にカメラの掃除やブレを防ぐ為に三脚立てて構図を決めてからミラーを上げてシャッターを切るという使い方をします。
7セルフタイマーレバー
セルフタイマーの時に使用します。(後で詳しく説明します)
8プレビューボタン
このボタンでピントの合っている範囲を確認する事ができます(後で詳しく説明します)
9レンズのロック解除レバー
レンズを交換する時に使用します。(後で詳しく説明します)
10レンズを取り付ける時の目印
レンズにも付いている赤丸印とカメラの赤丸印を合わせてレンズを交換します。(後で詳しく説明します)
11ストラップを取り付けるフック
ストラップを取り付ける為のフックです。




12解除ボタン
普通はフィルムが勝手に巻き戻ったりしないようにロックが掛かっているのですが、このボタンを押すとロックが解除され、フィルムを巻き戻す事が出来ます。通常は全て撮り終えてフィルムを巻き取る時にしか使いません。
13電池入れ
電池を入れる所です。これによって露出計やプレビューボタンが作動します。(後で触れます)
14三脚を取り付ける時のネジ穴
三脚を取り付ける時の凹部分になっていて、このネジ穴から取り付けます。
ちなみに三脚のネジの規格は古今東西共通です。

15電力ON/OFF切り替えスイッチ
ONにすると電気が通るようになり、露出計やプレビューボタンが使えるようになります。
こうやって羅列すると機能が多そうですが、やる事はいたってシンプルで「絞りとシャッタースピードを決めて撮るだけ」というものです。

ただSRT-101ユーザーとして、つまずいた所や所でこれは何に使うんだろう?という部分もあったので、それらを踏まえてSRT-101に備わっている機能を一通り説明していきます。


フィルム装填(そうてん)時のポイント

基本的なフィルムの取り付け方は別の記事を用意していますので、そちらを参照してください↓


経験のある方なら解ると思いますが、SRT-101はフィルムの取り付けがやりにくいです。

スプール(フィルムを取り付ける時、右側にあるやつ)にうまく引っかかってくれず、フィルムがスルッと抜けてしまう事が多々あり、結構イライラしてしまいます。

コツとしてはこのように取り付けてみて下さい↓


ポイントはフィルムの先っちょをはみ出させる事です。

これに関してはカメラによって色んなタイプがあり、中には上手く挟めるものや、くるっと巻き込めるものまで色々ありますが、SRT-101はそういうものが無くて解りにくいので結構苦戦します。

上記のようにやればするっと抜ける事はありません。


レンズの交換法

次にレンズの交換方法についてお話していきます。


レンズの外し方


まずレンズの外し方ですが、上記で紹介した9番のレンズロック解除レバーを下に押しながらレンズを回す事で外す事ができます。



その状態でレンズに付いている赤い部分とカメラの赤い部分が合わさる所まで回します。





具体的には片方の手(左手)でレンズロック解除レバーを下に押しながら、





もう片方の手(右手)でレンズの根本を持ち、赤印が合わさる所まで回します。





するとレンズが外れます。


レンズの付け方

次にレンズの付け方ですが、理屈は外し方と逆の事をすれば取り付ける事が出来ます。

但し、レンズロック解除レバーは触る必要はありません。



まず、カメラとレンズの赤印の所を合わせます。





密着した状態で、





「カチッ」という音がなるまで矢印の方向に回せば取り付ける事ができます。


露出計の使い方

次に露出計の使い方ですが、露出計はこのカメラで唯一電気が介する機能となっております。

ですので、使用するには電池が必要になります。(逆に言えば露出計が必要なければ電池も要らず、機械式同様に使う事ができます)


SRT-101は「MR9水銀電池」が必要

SRT-101で使用する電池は「MR9水銀電池」という平べったい電池なのですが、現在は生産していません。

同型の代わりになる電池もあるみたいなのですが、非常に値段が高いです。(数千円)

そこで形は違うけど、安くて現在でも売っている「LR44」という電池を入れてみた所、動作が確認出来ました。


LR44はオーソドックスなタイプの電池で、100均でも売っています。



上記でお話した13番の電池入れの所を親指でぐっと押し、矢印の方向に回します。(結構回しにくいです)





こんな感じです。





フタが開いたら上の写真と同じ向きに電池を入れます。(向きを間違えると動きません)





電池を入れたら開けた時と逆の方向にフタを回し、15番の電力ON/OFF切り替えスイッチを「ON」に合わせます。

これで準備が整いました。


露出計の見方

それでは露出計を見ていきましょう。SRT-101のファインダーを覗いてみてください。


こんな感じになっていると思います。



まず下の数字が並んでいる部分ですが、数字はシャッタースピードで、2番のシャッタースピードダイヤルに合わせて黒い三角の部分が動きます。

黒い三角の部分に囲まれている所が現在のシャッタースピードになります。(上の画像で言えば60分の1)



次に右の棒状のものですが、3番のISO設定ダイヤルを動かしてみたり、カメラを明るい所や暗い所に向けてみて下さい。
それによってゆらゆらと動くのが解ると思います。



そして最後に丸い輪が付いた棒状のものですが、これは2番のシャッタースピードダイヤル、3番のISO設定ダイヤル、そしてレンズの絞り値を変える事で動くのが解ると思います。

つまり、棒状のものはカメラが受けた光によって変動し、丸い輪が付いた棒状のものは撮り手がコントロール出来る絞りとシャッタースピードを変える事で動かす事が出来るという訳です。



ですので絞りとシャッタースピードを変えて、丸い輪を棒状の所に持ってくれば、それがその場合の適正露出という事になります。(単純な仕組みですので、使っているうちに解ってくると思います。)

ただ写真においては、必ずしも適正露出で撮らないといけない事はなく、「適正露出=正解」ではありません。


露出計が動かない場合は

形の違う電池を使っているので、接触が悪くて動かない事もあります。そういう時はぐっとフタを押したり、フタをキツく締めると動くようになったりします。

ただ、フタをキツく締めすぎると開ける時に苦労するので、そこは難しい所です。

50年前のカメラですから、そもそも電気系統が故障しているという事も十分にあり得ます。

どうしても動かないという場合はそれも考えられるので、その時は諦めてください。

そんな時はこちらをどうぞ↓



プレビューボタンの使い方


次にプレビューボタンの使い方ですが、これはミラーレスカメラで言う所のシャッターボタンを半押しした状態によく似ています。

シャッターボタンを半押しすると、設定した露出やピントの合う範囲が反映されてファインダーに写し出されますが、SRT-101のプレビューボタンはそれのピントが合う範囲がファインダーに反映されるものだと思ってくれてOKです。

デジカメの場合は撮った後に写真を確認できますから、狙い通りにピントが合ってなかったとしても撮り直す事が出来ますが、フィルムの場合は現像するまで解りませんから、非常に重宝する機能だと思います。


F2

F5.6

F16

仕組みとしてはこんな感じ

レンズというのはカメラに取り付けると、シャッターを切る時以外は絞りが常に開放になっています。

もし通常時に絞りが動くのならF16とかで絞って撮る時はファインダーが暗くなって見えづらいです。(動くタイプのレンズもあります)


カメラを付けていない時は絞りを動かすとこのように羽が出てくるのですが、






絞りは「8」に合わせているのですが、カメラに取り付けた状態だと羽は出てきません。



でもそれだと正確なピントの合っている範囲が確認出来ないので、 そんな時にプレビューボタンで確認するという具合です。


プレビューボタンを押すと絞り羽が出てきて、実際に絞った状態の画面をみる事ができます。これによってピントの合ってる範囲が撮る前に解ります。




注意:プレビューボタンが動くのはフィルムを巻き上げている時だけです

そしてそのプレビューボタンが動くのはフィルムを巻き上げている時、つまりシャッターを押せば写真が撮れる状態になっている時だけですので、そこは覚えておいてください。

今度撮影に出かけた時にでも早速試してみてください。昔のシンプルなカメラにも「こんな機能が付いているなんて!」と、ちょっとした感動があります。


セルフタイマーの使い方

では最後にセルフタイマーの使い方についてお話しましょう。


まず最初にフィルムを巻き上げます。





次に7番のセルフタイマーレバーを、





9時の所にまで持っていきます。





そしてセルフタイマーレバーで隠れていたボタンを押すと、





「ジー」という音と共にセルフタイマーレバーが上がっていきます。
シャッターボタンに注目して下さい。





自動的に沈んでいくのが解ると思います。





そしてセルフタイマーレバーが11時くらいの所で完全に沈んでシャッターが切れるという具合です。





セルフタイマーレバーが元の位置に戻った所でシャッターボタンも元に戻ります。


終わりに

一応これでSRT-101の機能は一通り紹介できたと思います。

露出計以外は全て電気を介さずに機械で動いていているというのも面白い所ですね。

単純な計算機である電卓にも意外と色々な機能が備わっているのと同様、昔の単純なカメラもよく考えられているなぁと関心するものがあります。

僕が初めて買ったフィルムカメラは電気式のカメラで、シャッターやら何やらも電気が無いと動かないというものでした。

ある日いきなり電気系統にトラブルが発生し、そのカメラは壊れてしまいました。

修理するにはもう一台カメラを買った方が安く付くくらいの費用が掛かると聞いたので、それ以降、電気式のカメラを買うリスキーさからフィルムカメラは機械式を使うようになりました。

機械式は一度修理すると、また50年は使える代物で非常に持ちが良いです。
これを期に機械式のカメラというものを見直してみてはいかがでしょう。
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