昨今のフィルムカメラブームは、何と言っても「写ルンです」が火付け役になったというのは間違いありません。

実は写ルンですみたいなレンズ付きフィルムは富士フィルムだけではなく、他のメーカーからも出しており、昔はコダックの「スナップキッズ」やコニカの「撮りっきりコニカ」等が有名で、フィルムカメラ全盛の頃は光学系以外の会社からもたくさん販売されていました。

それは現在も同じで、かなり少なくなりましたがアグファやイルフォード、そしてロモグラフィーからもレンズ付きフィルムを販売しています。

今回はそんな中から、ロモグラフィーのレンズ付きフィルム「SIMPLE USE」をご紹介したいと思います。

レンズ付きフィルムというのは、仕組み的にはどこも似たようなものなのですが、ロモグラフィーのレンズ付きフィルムが他とは一線を画するのはフィルムを交換出来るという所です。

レンズ付きフィルムは通称「使い捨てカメラ」と呼ばれていますが、ロモに関してはフィルムを交換出来るので、何度も使う事が出来ます。

今回はフィルムの取り付け方もしっかりとお伝えしますので、お求めの際はロモグラフィーのレンズ付きフィルムを選択肢の1つに加えてみてはいかがでしょう。


ロモグラフィー SIMPLE USEの概要


SIMPE USEは、
1.カラーのネガフィルムタイプ(フィルム名:「color negative400」)
2.白黒フィルムタイプ(フィルム名:「LADY GRAY400」)
3.写りが紫っぽくなるタイプ(フィルム名:「LOMO CHROME PURPLE」)
4.新発売の「LOMO CHROME METROPOLIS」が搭載されているタイプ
の4種類のタイプがラインナップされています。


価格

カラーネガタイプ:2380円
白黒フィルムタイプ:2120円
写りが紫っぽくなるタイプ:2630円
新発売の「LOMO CHROME METROPOLIS」タイプ:2580円(27枚撮り)
やや高く感じますが、フィルムを入れ替える事が出来るので何度も使えます。


仕様

フィルム枚数:「LOMO CHROME METROPOLIS」は27枚撮りで他は36枚撮り
フィルム感度:400
レンズ焦点距離:31mm
シャッタースピード:120分の1
絞り:F9
撮影距離:1m~無限
写ルンですは「32mm」の「140分の1/F10」なので、SIMPLE USEは写ルンですよりもやや広角気味で、明るめに撮れるという事が解ります。


ロモグラフィー SIMPLE USEの使い方


写ルンですを使った事がある方なら解ると思いますし、そうでなくても特に難しい事はありません。





まず写真の↑の部分が歯車になっているので、指でジーコジーコと右に回します。これでフィルムが巻き取られ、撮影準備が完了です。





次に撮りたいものに狙いを定めて↑のシャッターボタンを押すだけです。

基本的な使い方は本当にこれだけです。

僕はこのシンプルさがレンズ付きフィルムの強みだと思っていて、撮りたい瞬間にシャッターを押す必要があるスナップ写真ではその力を遺憾なく発揮してくれます。(明るい所限定ですが)


フラッシュは写ルンですとはちょっと違う

一応の決まり事として「晴れの日の屋外より暗い状況ではフラッシュを使いましょう」というのがあり、この辺りは写ルンですと同じで露出が固定されているレンズ付きフィルムの宿命だとも言えます。(僕は多少暗い所でもフラッシュを使わずに撮り続けています。)

SIMPE USEのフラシュは写ルンですとは勝手が違うので、最初は「ん?」となるかもしれません。ですので一応補足しておきます。



この↑のボタンを長押しします。





何秒か長押ししていると、発光する部分に赤いランプが付きます。

これでフラッシュの準備が完了なのですが、ボタンを離すと赤いランプも消えてしまいます。

それでもフラッシュは生きていて、シャッターを押すとフラッシュが焚かれます。

よくある失敗例として、フラッシュの準備が完了しているのを忘れて普通に撮ろうと思ったらフラッシュが焚かれたというものです。

建物等でそれをやってしまうと周りの人がかなりビックリすると思うので、注意してください。


フィルムの取り付け方

基本的な情報や操作方法はどのレンズ付きフィルムもさほど変わりはありませんが、ロモのSIMPLE USEが他のレンズ付きフィルムと違うのはフィルムを交換する事が出来るという点です。

一応説明書にも交換方法は載っているのですが、ほぼ文章だけですので写真を用いて説明していきます。


初めての場合

初めての場合はまず、最初から入っているフィルムを全て使いきりましょう。そして使い終わったら、



まず裏面をご覧ください。最初はこのようにシールが貼られています。





点線部分があるので、ハサミかカッターで切り取ります。





こんな感じですね。以降は簡単にカメラの蓋を開ける事が出来ます。





まずはカメラの側面のロックを下に下げます。





すると、このように蓋が開きます。





撮りきったフィルムが入っていますので、取り出して現像に持っていきましょう。




それではフィルムを取り付けてみましょう


残り枚数カウンターを手で回して「E」に合わせます。





蓋を開けた右側にフィルムを取り付けます。基本はこの方向にしか入らないので、入れ間違い的な事は無いと思います。





ここが1つ目の関門です。要はフィルムを左側に巻き取って行くという作業なのですが、左側の軸の上にでっぱりがあると思います。

フィルムの穴(パーフォレーション)をここに引っ掛けます。





この時既にフィルムは固定されているので、手で引っ張っぱりにくいと思います。





ですので↑の部分を矢印の方向に押しながら、





引っ張るとスムーズに行きます。





パーフォレーションは2穴目が望ましいです。





そしてここが2つ目の関門です。カメラの底面にあるフィルム巻取りノブを、





人差し指でゆっくりと回します。





この時右の赤丸部分は離してくれてOKです。

そしてうまく引っ掛かってくれた状態ならフィルムがピンと張るので、人差し指はそのままで、





蓋を閉めます。人差し指は絶対に離さないで下さい。

もし離してしまうと、ちょっと面倒な事になります。





ここからが第3の関門になります。↑の部分を矢印の方向にやりながら、






人差し指と親指を交互にうまく使って、リールを回していきます。





本当は↑このようにクルクル回したい所ですが、SIMPLE USEのリールは小さくて固いので、スムーズに回ってくれません。

そして手を持ちかえる時に手がリールから離れてしまうと、ちょっと面倒な事になります。
ここはガマン比べです。

そしてこれ以上回らない所まできたら全部巻き終えたという合図です。

目印はフィルムの残数カウンターが36になっているかどうかで、36の所まで来ていたらすぐに使う事が出来ます。(多少ズレはあります)




もし、人差し指がリールから離れてしまったら

リールを回す人差し指が離れてしまった場合は面倒な事になると言いましたが、実際は手が滑る事もあるので結構離れてしまいやすいです。

ですのでその時の対処法をお話します。

リールから手が離れてしまうとピンと張っていたフィルムがゆるんでしまい、その勢いで穴に引っ掛かっているフィルムが外れてしまう恐れがあります。

フィルムを入れた後に裏蓋を開けると、フィルムが光に晒してしまう事になるので蓋は開けれません。





まずは右手を離して、リールをクルクルと回してみてください。

少し回してこれ以上回せなくなったら再びフィルムが張り直したという事ですので、以降は気をつけながらフィルムを巻いていきます。

どれだけ回してもクルクル回りっぱなしの場合は穴の引っ掛かりが外れてしまったという事なので、裏蓋を開けてフィルムを巻き取るしかありません。




暗室かダークバック、それが無ければ全く光の無い所

この作業をする時は裏蓋を開けるので暗室かダークバック内で行う必要があります。

それらが無い場合は全く光の無い状態を自分で作り出だなければいけません。

当然時間帯は夜になるのを待ちましょう。その上で部屋の電気を消して、更にその部屋の押入れの中に入ってみます。

しばらく押入れの中で過ごし、周囲の物が何となく見える場合は光がある証拠ですから作業はできません。
本当に何も見えない状態を作り出してください。




※光の無い状態で行ってください。

その上で裏蓋を開けて、歯車の部分をジーコジーコと回していきます。

するとフィルムが元に戻って行くので、最初からやり直しましょう。





もし巻いている途中で戻りが悪くなった場合はフィルムがピンと張られた状態になったと言う事なので、その時はリールをクルクルと回して下さい。

すると多少ゆるみますので、そこから更に巻いていきましょう。




最初は練習した方が安全

慣れるまでは結構大変なので期限切れのフィルム等、安いフィルムを1本犠牲にして練習したほうが安全だと思います。




安いフィルムを1本犠牲にして何回も練習しました。


作例

それではSIMPLE USEの作例をご覧いただきましょう。 使用したフィルムはカラーネガ400と白黒の400になります。


カラーネガ400タイプ(color NEGATIVE400)

カラーネガ400は「color NEGATIVE400」というロモのレギュラー的な存在のネガフィルムで、カラーネガタイプのSIMPLE USEを購入したら、最初にこのフィルムが入っています。






このジャギジャギした感じと、彩度が高いのが非常にロモっぽいです。






カラーネガは結構昔に撮ったのですが、この頃は異様に縦写真が多かったです。比率で言えば今と真逆なくらいです。





空の色がきれいですね。そしてこの赤がたまりません。










白黒400タイプ(LADY GREY400)

白黒400タイプは「LADY GREY400」というロモグラフィーの白黒フィルムを使用していて、白黒タイプのSIMPLE USEを購入したら、このフィルムが最初に付いています。



現像は自分でやりました。どうやら現像時間が足りなかったみたいで、全体的に薄い感じになってしまったので、少しだけ補正をしました。(明るさは変えてません。)






「LADY GRAY」というくらいなので、グレーが強く出ていますね。

僕は白黒フィルムはほぼ富士フィルムのアクロスしか使った事がなかったので、これには驚かされました。






3枚目のこま書房の写真は昭和初期の雰囲気さえ感じます。

よく「白黒はノスタルジックに写る」という言葉を耳にしますが、僕にとってのノスタルジックは白黒よりもカラーの方が強いんです。

昭和初期まで行ってしまうと、ノスタルジーとはまた違った感覚になります。これは世代の差なのでしょう。






思ったのですが、このグレー色が昔の新聞写真を彷彿させていて、より昭和初期感が強く出る感じになりますね。

普通の白黒でもここまで昔っぽくなりません。

モノクロのというのは「単一」という意味で、1つのトーンを使用しているというのが本当の所で、同じ白黒でもここまで違いが出るのは新しい発見でした。






LOMO CHROME PURPLE

続きまして、「LOMO CHROME PURPLE」タイプに参りましょう。

このフィルムは独特の発色をするフィルムで、全体的に紫っぽくなります。


一番顕著に表れるのが緑色で、葉っぱなんかを撮るとかなりシュールな写真に仕上がります。







パープルというよりも、カラー写真創成期の様な雰囲気を醸し出していますね。

シンプルユーズのレンズはプラスチックで出来たチープなレンズなので、画質の悪さと色合いの悪さが相まって昔の写真みたいになります。














LOMO CHROME METROPOLIS

最後に「LOMO CHROME METROPOLIS」に参りましょう。

メトロポリスはここ最近に発売されたフィルムで、それに伴ってシンプルユーズにも採用される事になりました。


気を付けなければいけないのが、このメトロポリスというフィルムは特殊なフィルムらしく、富士フィルム専門の現像所でも現像を受け付けてくれませんでした。(結果、コダックの現像所にお願いする事になりました)



特徴的なのが何と言っても彩度の低さで、それでいて暗い部分は暗くなるので、全体的に暗めの写真が多かったです。

画質が悪いのはシンプルユーズのプラスチックレンズによるもので、ロモグラフィーらしいと言えばロモグラフィーらしいですね。





天気の悪い夕方に撮ったのですが、他のフィルムや写ルンですなら明るく写ってくれる所でもかなり暗くなってしまいました。(現像の関係かもしれませんが)















終わりに

以上長々と書いてきましたが、 フィルムの取り付け方以外は写ルンですと何ら変わらないので特に難しい事ではありません。

フィルムの取り付け方さえマスターすれば、後はフィルム代だけでOKですのでコスパは非常に良いです。

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