おじいちゃんの家の押し入れから昔のカメラが見つかったとしましょう。
奇跡的にカメラが動いたとしても、電気の部分である露出計は全く動かないというのはよくある話です。

電池が切れているだけで露出計自体は何とも無かったとしても、電池が販売されていないというパターンも結構あります。(代用品はあるみたいですが)

僕が今でも使っている「minolta SRT-101」。発売が1966年なので50年以上前のカメラになります。露出計が動かないのですが、現役で頑張ってくれています。

そこで今回はフィルムカメラを入手できたけど、露出計が使えなかったという時の対処法についてお話したいと思います。

せっかく何かの縁で巡り合ったカメラですから、あきらめずに使ってあげましょう。
露出計が無ければ無いで、意外と何とかなるものです。


一番手っ取り早いのは単体の露出計を使う事

単体の露出計。リバーサルフィルムとかシビアに露出を決めたい時はこれを使います。


そもそも露出計が発明された頃は単体のものが最初でした。
利便性を追い求めていくうちにカメラに内蔵するという発想が生まれ、今では単体の露出計の方が珍しいという事になっています。

安い中古でよければ5000円前後で売っていますから、これを使うのも良いでしょう。

また今は凄く便利な時代で、「露出計アプリ」というものが存在します。
「露出計 アプリ」等と検索すれば色々出てくるので、気になったものを使えば良いでしょう。(有料と無料のものがあり、無料のものは広告は表示される等の制限はあります。)

ただ、露出計を使うにしても「露出」についての知識が必要になってきます。
ここからが本題なのですが、その辺の事について詳しく無い場合はとっておきの力技があります。


「写ルンです」と同じ設定にする

写ルンですは夜や極端に暗い場所以外では、どのような条件でもある程度は写ってくれるカメラです。 (正確にはレンズ付きフィルム)
という事はお持ちのカメラを写ルンですと同じ設定にすれば、夜や極端に暗い場所以外では、どの様な条件でもある程度は写ってくれるという事がお解り頂けると思います。

別の記事に天気が良すぎる日~夜までのあらゆる条件を写ルンですで撮影した作例を載せていますので、そちらを御覧ください↓
写ルンです完全ガイド 天候・時間帯別作例等全てお見せします。

写ルンですの設定は以下のようになります。

・フィルム感度400
・絞り11
・シャッタースピード125分の1
(本当は絞り10のシャッタースピード140分の1なのですが、キリの良い数字に直しました)

ちょっと専門的ですので、覚える必要はありません。軽く聞き流すくらいでOKです。
それでは実際にカメラを写ルンですと同じ設定にしていきましょう。


感度400のフィルムを選ぶ

感度と言うのは写真の明るさを設定する時の1要素で、この感度の数字が高くなれば高くなる程、感じやすいという捉え方でOKです。

フィルムを購入する際、箱に大きく「400」と書かれたものを選んで下さい。




絞りを11に合わせる


レンズの所に数字が書いてあると思います。
その数字を「11」の所に合わせて下さい。


シャッタースピードを125の所に合わせる


カメラにも数字が書いた丸いダイヤルがあると思います。
それを「125」の所に合わせてください。

これはシャッタースピードのダイヤルで、125というのは125分の1の速さでシャッターが切れるという事になります。


これで写ルンですと同じ設定になりました。
この設定で撮れば、夜や極端に暗い所以外は、ある程度は写ってくれます。


更にもう1歩踏み込んで…

以上の説明だけでも撮影を楽しむ事は出来ますが、ここからは更にもう1歩踏み込んで写真の「露出」の話をしていきましょう。(難しい話はしません)

先程写ルンですと同じ設定にしましたが、その設定の事を「露出(ろしゅつ)」と言います。
結局露出というのは、

真っ暗な部屋で「メガネ」を掛けて、「カーテン」を「何秒間」開けていられるか? という話です。

「メガネ」「カーテン」「何秒間」というのが要素になり、さっきの写ルンですの設定(露出)で言えば、

・フィルム感度400←メガネ
・絞り11←カーテン
・シャッタースピード125分の1←何秒間

が、それぞれの要素になります。

今日は「メガネ」と「何秒間」は固定したままで、「カーテン」である絞りだけをイジって設定(露出)を変えてみましょう。


数字が小さければ小さい程、カーテン全開に近づく


このレンズに付いている数字ですが、この数字が大きければ大きい程カーテンをちょっとしか開けていない状態 で、ほんの少しだけ光がさしている真っ暗な部屋だと思って下さい。

逆にこの数字が小さければ小さい程カーテンをガバっと開けている状態で、この上の写真のレンズの一番左の数字の1.4はカーテン全開の状態になります。


写ルンですのちょうど良い条件は「晴れの昼間の屋外」


写ルンですの設定である「感度400(メガネ)・絞り11(カーテン)・シャッタースピード125分の1(何秒間)」というのは、晴れの昼間の屋外で撮るとちょうど良い感じの写真が出来上がるという数字です。

しかし例え晴れの昼間に写真を撮っていたとしても、撮りたい物がそう都合よく晴れ間にあるとは限りません。
撮りたい物が建物の影になっている事もあるでしょう。

晴れの昼間の屋外よりも暗い所で写真を撮る時はどうすれば良いでしょう?

カーテンをもう少しだけ開けて、部屋を明るくすればちょうど良い明るさになってくれます。

ではそのように設定してみましょう。






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レンズの数字の所を「11」から「8」に変えました。
これでカーテンが11よりも、もう少しだけ開いた状態になったので、部屋が明るくなりました。




これと同じ理屈で、更に暗い所で撮る時は更にカーテンを開けて部屋を明るくすれば良いという事になります。






時には「8」と「5.6」の間の暗さの時もあるでしょう。


そんな時は8と5.6の間に合わせる事も出来ます。


常に勘で撮らないといけないの?

今回は自分なりの基準を作って(今回で言えば写ルンですの設定)、それを基に露出を設定していくというやり方をご紹介しましたが、これは非常に面倒くさいです。

しかも体感ですから正確ではありませんし、時には狂う時もあるでしょう。

だから露出計というものが存在します。
露出計は「これくらいの明るさの場合はカーテンをこれくらいにすればちょうど良いよ」という事を教えてくれる便利な道具ですが、冒頭でもお話したようにある程度の露出の事を理解していないと使えません。

今回はその1つの要素である「絞り」というもの使って説明してみました。
これが露出を理解する第1歩になれば幸いです。

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