フィルム最大のストレスはその日に写真が見れない事。しかし…!

B!

フィルムカメラを始めて、最初に不便だと感じる事は「撮った写真を現像するまで見れない」という事です。

デジカメの場合は家に帰ればパソコンに取り込んですぐに画像として見る事ができますが、フィルムの場合は写真として見れるまでにタイムラグが出てきます。

最初はここにストレスを感じてしまい、歯がゆい思いをされる方が多いのですが、実はここを乗り越えると、今までに見た事が無かった新しい境地に辿り付く事が出来ます。

今日はこの新しい境地についてお話していこうと思います。

最初に感じていた不便さもやがては慣れて、ストレスから解放される時が来るという事が解って頂ければと思います。


仕上がりが次の日でもイライラ…

フィルムカメラを始めた多くの方は、写ルンですを含めネガフィルムから入っていく方が多いと思います。(ネガフィルムとは「フィルム」と聞いてぱっとイメージする一番ポピュラーなあのフィルムの事です。)

ネガフィルムの場合は大型カメラ店だと1~2時間くらいで現像してくれるので、その日に写真を見る事も可能です。

ただし、フィルムを「その日に撮りきる事ができれば」というのが条件で、そうじゃない場合は「次回持ち越し」になります。(途中でフィルムを巻き取って現像に出す事も出来ますが、もったいないですね)

写真を撮るのが週に1回だとすれば、今日撮った写真を見れるのは1週間後という事になり、めったに撮りに行かない方は更にずっと先になってしまいます。(ここまでくると何を撮ったかを忘れてしまうので、逆に面白かったりもしますが…)

僕の場合、現像に出すのは大型カメラ店ではなく、いきつけのいわゆる「町の写真屋さん」みたいな所で、よっぽど早い時間に現像を出さないとその日に仕上がる事がありません。

撮りに行ったら帰りは大概夕方になるので、仕上がりは次の日がほとんどでした。

今となっては次の日仕上がりでも平気ですが、当時はこのタイムラグがストレスで仕方ありませんでした。

そこで取った対策というのがフィルムを24枚撮りのものにし、物理的に撮り終えるのを早める事でした。

それでも一日で24枚を撮りきるのは難しく、残り10枚を切ると現像に出したくてウズウズしてきて、雑な撮り方になり、出来た写真を見ても「なんでこんなのを撮ったんだろう?」というものばかりでした。


リバーサルや白黒フィルムだともっと時間が掛かる…

ずっとフィルムカメラで撮っていると、色んなフィルムに興味を持ち始めます。

それがリバーサルフィルムと白黒フィルムで、これらは更に現像に時間が掛かります。(リバーサルと白黒フィルムに関しては別の機会にお話します)

というのもネガフィルムはそのお店で現像作業が出来るのですが、リバーサルと白黒フィルムはそのお店から現像所的な所に送って現像をするので、配送期間の分さらにタイムラグが生じます。

最短で3日掛かり、タイミングが悪いと1週間くらい掛かってしまいます。

このタイミングというのは土日祝日は現像所的な所は休みで、そこをまたぐとその分だけ時間が延びてしまうのと、現像所的な所から各写真店に集荷に来るのだと思いますが、集荷に来た後に現像を出しても持って行くのは次の日の集荷なので、その分1日時間が延びるという訳です。

僕が初めてリバーサルの現像に出した時は仕上がりまでに6日掛かりました。

気が遠くなるほど待ち遠しかったのを覚えています。(しかもリバーサルは36枚撮りしかないのでとり終えるのにも時間が掛かりました。。)


こういうステップで境地に辿り付く



フィルムを始めて最初は次の日仕上がりでもストレスを感じていたのですが、やがては慣れてくるもので、恐らくは次のステップを踏んでいくと思います。

ステップ1:ネガフィルムの次の日仕上がりでも長く感じ、リバーサルや白黒フィルムの数日仕上がりは気が遠くなる。

ステップ2:リバーサルや白黒フィルムの数日仕上がりに徐々に慣れてきて、相対的にネガフィルムの仕上がりが早く感じるようになる。


ステップ3:リバーサルや白黒フィルムの数日仕上がりが当たり前になり、現像に出すのも急がなくなる。

ステップ4:撮ったフィルムの存在自体を忘れてしまい、現像に出していないフィルムがどんどん溜まっていく。
僕は現在ステップ1と2を経て、ステップ3に移行してる所です。

ステップ4に関してはまだ踏み入れていない境地ですが、諸先輩方の話を聞いていると最後にはそうなるみたいです。

「撮る→見る→撮る→見る」から「撮る→撮る→撮る→撮る→まとめて見る」みたいな感じになるらしく、撮影を終えて完成した作品を見る映画監督のような感覚なんでしょうか。(言い過ぎか。。)

外国に1~2ヶ月撮影に出掛けたフォトグラファーが、帰国後にダンボール箱いっぱいのフィルム(しかもブローニー)を現像に出すというフォトスタイルに憧れを抱いたものですが、そんな感じでフィルムを捉えてみてはどうでしょう。

それはともかく、人間というのは慣れる生き物、更に言えば順応できるように出来ているのだという事がよく解ります。


ちなみに…撮ったその場で写真を確認出来ないのは意外と平気だったりします。

もう一つフィルムの特性として、撮ったその場で今撮った写真を確認出来ないというものがありますが、これは意外と平気だったりします。

すぐに見れないが故に考えて撮るようになったり、シャッターを切る段階で画(え)が完成させられるようになったりと、これはむしろプラスに働いてくれます。

とは言え失敗写真も多く、うまく撮れなかった為にもう一度そこに出掛けるというのもよくある話ですが、少なくとも「よく解らないけど、とりあえず撮っておこう」みたいな撮り方は少なくなると思います。


まとめ

現在は「撮る→見る」というのが一つのサイクルになっていて、撮った写真を見ないと次に進んではいけないような感じになっていますが、ずっとフィルムで撮っていると遂にそのサイクルが崩れだすのですね。

「写真を撮る」という行為と「写真を見る」という行為が別ジャンルになると、遂にタイムラグのストレスから解放されます。

フィルムしか無かった時代はこれが当たり前だったのでしょう。
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