フィルムカメラで撮り続けていると、色んなフィルムに興味が出てきます。
その中でも異彩を放つのが今回ご紹介する「リバーサルフィルム(ポジフィルム)」ですね。
フィルムと言えばネガが当たり前で、まさかネガ以外のフィルムが存在する事にビックリですが、昔はプロやハイアマチュアカメラマン御用達のフィルムでした。
現在はデジカメの台頭で需要が急激に減りましたが、それでも愛好家が存在し、少数ながらも使い続けている方がいます。
今回はそんなリバーサルフィルム(ポジフィルム)についてお話していきたいと思います。
ネガフィルムとは撮影や現像の勝手が違うので、ぜひご一読ください。
リバーサルフィルム(ポジフィルム)とは?
現在ツイッターやインスタグラムにアップされているほとんどのフィルム写真は「ネガフィルム」と呼ばれているもので、「フィルム=ネガ」と言っても良いほど一般的なフィルムになります。フィルムを現像した時、↑の写真のような茶色いものを一緒にもらったと思います。
現像したフィルムを見ても、変な感じになっていますね。
色や明暗等が全て反対に写され、プリントする時に更に反対に写す事で元の写真のようになるという具合です。
一方、現像した段階で既に写真になっているのが「リバーサルフィルム」で、プリント等はせずにここで完成品になります。(プリントも出来ます)
以前は映写機で1枚1枚スライドさせて鑑賞したり、ルーペで拡大して写真を楽しんだりしていました。
現在はネガフィルム同様、データ化してパソコンやスマホ上で写真を見たりSNS等にアップするという楽しみ方も増えました。
「ネガフィルム」に対しての「ポジフィルム」で、語源はネガティブ・ポジティブから来ています。
リバーサルフィルムの魅力
最初に述べたようにデジカメが出来る前はプロやハイアマチュアカメラマン御用達のフィルムでしたが、現在は実用的な需要という意味ではほぼ皆無と言っても良いかもしれません。コストや手間はどう考えても掛かりますし、僕は昔「画質が本当に良い!デジカメ並みに綺麗に写る」と言われたことがあるのですが、「じゃあ、デジカメでいいじゃん。」と素直に思いました。
それでもやっぱりデジタルとは違う何かがあり、出来上がった写真を見ても「いかにもポジフィム」という雰囲気が醸し出されています。
そしてフィルムを明るい所にかざして見てください。
結晶のような輝きを放っています。
1コマ1コマに世界が包み込まれたような感じで、サイズの大きいフィルムの場合だとそれだけでアートになり、個展を開催できるレベルです。
僕個人の事で言えば妙に懐かしい気持ちにさせてくれるフィルムで、恐らく昔の印刷物にはリバーサルフィルムが多く使われていたのだと思います。
ポジフィルム調独自の雰囲気がたまらなく良い感じです。
リバーサルフィルム現像ガイド
それでは実際にリバーサルフィルムを試してみたいという方の為にガイドをしておきましょう。価格
フィルムの値段ですが、すっごく高いです。ヨドバシカメラ等お店で買う場合は基本定価売りですが、そこで1850円くらい掛かり、昔からフィルムで撮っている人に言わせると、ありえないくらい値段が高騰しているそうです。
アマゾン等は値段が変動しますが、この1850円を目安にすれば間違いありません。
露出
そしていわゆる露出がすごくシビアで、ネガフィルムみたいに「意外とちゃんと写ってるんだね」という訳にはいきません。(デジカメと同じくらいと思ってくれればOKです)僕はリバーサルフィルムで撮る時は単体の露出計を使います。
現像
そして撮り終えて現像に出す際ですが、ほとんどの場合お店では現像できないので、現像を受けたお店がプロラボに持っていくというのが通常です。ですのでその分上がってくるまでに少々時間が掛かります。
流れとしては「お店からプロラボに出荷(1日)」→「プロラボで現像(1日)」→「プロラボからお店に戻ってくる(1日)」という具合で、最短で3日掛かります。(月曜日に出せば水曜日に受け取れる)
そしてお店ごとに集荷の時間というのがあり、毎日決まった時間に現像屋さんが回収しにくると思うので、その後に現像に出せば出荷は次の日になり、更に1日延びて4日掛かります。(月曜日に出せば木曜日に受け取れる)
ちなみに僕がいつも現像しているお店は定休日があるので、出し方によっては更に1日延びて5日掛かる事もあります。
現像に出すのは大概撮影の帰りや仕事終わりなので、次の日出荷がほとんどです…
現像に出すのは大概撮影の帰りや仕事終わりなので、次の日出荷がほとんどです…
仕上がりは2種類ある
リバーサルフィルムは2種類の仕上がり方法があり、それが「マウント」と「スリーブ」というものです。初めて現像に出した時は「マウントですか?」「スリーブですか?」と聞かれ、頭が「?」になりました。
マウントというのはフィルムを入れるケースの名前で、↓の写真がそれになります。(右側のやつです)
これは本来のリバーサルフィルムの楽しみ方で、フィルムを1コマ1コマこのケースに入れてゆき、明るいライトに透過させて、ルーペみたいなもので鑑賞するというものです。
今はデータ化してパソコンやスマホでで見るのがほとんどだと思うので、マウントはあまり関係ないかもしれません。
その時は「スリーブ」でお願いしましょう。
スリーブというのはネガフィルムの時と同じで、6コマに切ったフィルムをそのまま渡してくれます。
仕上がったフィルムを眺めているだけでも、凄く綺麗で、結構感動します。
現像料金
現像料金も「マウント」か「スリーブ」かで値段が違ってきて、スリーブの場合でも1500円前後し、マウントだと更に割高になります。それプラス今はデータ化代(500円くらい)も加算されますから、両方合わせて1900円、フィルム代も含めると4000円強掛かってしまいます…。
最後に あまり時間が残されていない…
せっかくフィルムカメラというものに縁があったのですから、1度は「リバーサルフィルム」を体験しておいて欲しいものです。今でないといけない理由があり、おそらくあまり時間が残されていないと思います。
現在国内でフィルムを生産しているのは「富士フィルム」1社のみで、フィルム事業に関してはかなり事業を圧迫している模様で、いつまで持つか?というのが正直な所です。
より便利なものに取って代わるというのが世の常ですが、フィルムというのは単に衰退させるだけでは非常にもったいない限りだと僕は思います。
この時代にあえてリバーサルで撮るのはそこが大きいのかもしれません。