上手い写真が嫌いな人に贈る「くずし写真」のススメ


どうすれば写真が上手くなるのだろう?

写真を始めた頃は常にそんな事を考えていました。(何かにとりつかれたかのように)

上手く撮る事こそが命題で、それが全てだったと言っても過言ではありません。
そして世の中も当然そうなんだと思い込んでいました。

所が周りを見渡してみると全然そんな事は無く、むしろ上手い写真に嫌悪感を持つ人が大勢いると言う事も解りました。

上手い写真至上主義だった僕がそういう人達と出会い、写真に対する価値観が大きく揺さぶられ、どうすれば良いのかが全く見えなくなった事もありました。

その結果、非常に長いスランプに入る事に。





長いスランプの時に撮った写真。本当に苦しかったです。


「上手く撮る」という事を突き詰めていけば何処かにたどり着くのだと思っていましたが、まさか真っ暗なトンネルに入るとは思ってもいませんでした。。

でもこのスランプのおかげで一皮剥ける事ができ、新しい技法を生み出す事が出来ました。(この技法で写真集のZineまで作りました)

そこで今回は、いわゆる上手い写真が嫌いな方に贈る「くずし写真」のススメと題してお話していきたいと思います。


世間で言われている“上手い写真”とは端正な写真の事

まず最初に世間で言われている上手い写真とは、どういう写真なのか?という所から考えていきましょう。

結局の所「端正な写真」の事なんだと思います。

「端正な顔立ち」等で使われる端正の事で、「構図が云々」「フレーミングが云々」「水平垂直が云々」等、写真の基本と呼ばれている部分ですね。(本当の上手さとはもっと深い所にあると思うのですが)

ありとあらゆる被写体を端正に撮れるのが上手さだというのが通念になっていて、そうじゃない写真は価値がないとみなされる。
それが非常にしんどいのだと思います。

僕も昔はしんどい思いをさせていた側の人間でしたから、反省しております。

そして今だからハッキリと言い切れるのは、どんなものでも端正にしか撮らないというのは上手さではありません。

例えるなら高級感が出るからと言って八百屋の野菜を高級ショーケースに陳列するようなもので、野菜なら青いザルに盛ってマジックで「小松菜250円!」と殴るように書いたほうが雰囲気が出ます。

被写体によって、どう撮りたいのかによって撮り分ける事が出来る。
それが本当の意味での上手さなんだと思います。


くずし写真の撮り方 端正じゃないけど何かいい

では具体的なくずし写真の撮り方について説明していきます。

ポイントは「端正じゃないけど何かいい」という事で、例えば街を歩いていて「何かいいな」というものに出会ったとしましょう。

通りすがりにそれを見る訳ですから、真正面から水平垂直に三分割構図でそれを見る訳ではありません。

横切ったほんの一瞬、妙に琴線にふれた瞬間、その瞬間をキャッチするというのが撮り方になります。

ですので実際に街を歩いていて「おっ!」と思ったその瞬間に、すかさずパチリとやるか、撮りたいものが見つかったら実際に通りすがって妙に気持ちが良いアングルを探すかのどちらかになります。

最初は「構図が」とか「フレーミングが」みたいな、今までの写真の撮り方が邪魔になる時があるかもしれませんが、数をこなしていけば徐々に先入観が取り除かれてきます。

また実際に他の人のくずし写真を見る事で、「あ、いいんだ」みたいな感じになり、撮りやすくなります。


くずし写真の作例

それでは実際にくずし写真の作例を見ていただきましょう。



「製造直売~」と書かれた看板が気に入ったので、実際に何往復も横切ってこのアングルを決めました。





同じく「自動販売機コーナー」と書かれた青いテントが気に入ったので、これも色んな角度から見て最終的にこの位置に決めました。
もはや何分割構図なのかも分かりません。





以前の僕なら建物を撮る時は斜めから撮るなんて事は一切やりませんでした。
しかし実際に横切って妙に気持ちいいポイントがここだったので、そのまま素直に撮りました。







これなんかはまだそれらしく撮った方ですね。


最後に

端正な写真とくずし写真の違いは結局の所四角いものを四角く切り取るか、ひし形、時には丸く切り取るかの違いであって、間違っても「くずし写真=手抜き写真」ではありません。

端正なだけでつまらない写真があるのと同様、くずし写真にもつまらない写真はたくさんあります。

そこはくれぐれもはき違えの無いようにお願いします。

そして本当に上手い人から言わせると、実は下手に(端正ではない)写真を撮る方が難しいみたいです。
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