単焦点レンズで写真が上達すると言われている理由


「単焦点レンズを使うと写真が上達する」

昔からこのような事が言われてきました。
大前提として本人にその気がなければ絶対に上達する事が無いのは言うまでもありませんが、結論を言えば「何かいい感じ」の写真が狙って撮れるようになる事は間違いありません。(これを上達と呼ぶかは別問題です)

理由は写真の上達する要素の1つである「画角」を扱うからです。
確かに単焦点レンズのみで撮っているとズームレンズに比べて画角に対して敏感になるので「画角感」が身に付きやすいというのは事実です。

この「画角感」こそが、単焦点レンズを使うと写真が上達するという言われている所以です。


画角感とは?


画角感とは「ここからこう撮れば、こんな写真になる」という事をファインダーを覗かなくても切り取れる眼の事を言います。

24mmなら24mm、50mmなら50mm、200mmなら200mmの眼を持つ事が出来るので、写真を撮りに行っても画角感が無い状態よりも多くのものを発見する事ができます。
全く同じ風景を見ている2人がいるとして、1人は良い写真をどんどん撮るのに対し、もう1人は上手く撮れないというのはこの画角感が関係しています。

そして切り取れる眼の数が増えれば増えるほど表現の数も多くなり、この眼を持つ一番手っ取り早い方法が1つの画角に固定して、ずっとそれで撮る、つまりそれが単焦点レンズという事です。


50mmだと特に上達が早い

とは言え最初から24mm・35mm・50mm・85mm・135mm・200mmを同時に使ったとしてもこんがらがってしまうだけなので、1本ずつ攻略していった方が遠回りの様で実は一番の近道です。

一番最初のレンズを選ぶ時、特にこだわりが無いのなら50mmをオススメします。
50mmは他のレンズより画角感を身に付けやすいレンズだからです。

画角感を身に付けるというのはその画角が持っている視野(フレーム)と遠近感を身に付けるという事で、50mmの遠近感は人間の眼と同じくらいなので、非常に話が早いです。

これが他のレンズ、特に広角レンズだと遠近感が凄いので、脳に1からその遠近感を覚えさせる必要があり、自分の眼になるまでには結構な時間が掛かってしまいます。

しかも広角になればなるほどレンズの歪みとのお付き合いも始まり、それを踏まえた画(え)作りも求められるので、一番最初に持つには結構ハードルが高いです。

ただ、何かこだわりがあるのなら広角レンズでも全然OKです。

これが50mmが標準レンズと呼ばれている所以です。
50mmが人間の目に近いと言われているのは視野の事ではなく遠近感の事で、50mmの視野は人間の目よりもはるかに狭いです。

同じ標準レンズ候補に挙がる35mmも人間の目よりかは遠近感が付きます。
35mmで向こうのビルを撮ってみてください、「遠っ!」ってなります。


次のレンズに行くタイミング

とは言えいつまでもレンズ1本という訳にはいきませんから、時期が来たら他のレンズも検討してみましょう。

どのタイミングで他のレンズを足せばよいのか?という事ですが、次の3つに差し掛かった時でOKです。


1.「あっ!これはこのレンズでは撮れないとな」解った時

画角感が身に付いていないうちは、無理やり何でもかんでも撮ろうとしてしまいます。
大きな赤い夕日を背景に東京タワーのアップの写真等、明らかに望遠レンズじゃないと撮れない画(え)も撮れると信じて。

何枚も撮っているうちに画角感が身に付いてくるので、このレンズで撮れるもの、そして撮れないものも解ってきます。
そして更に「50mmで撮れるけど、遠近感的に広角が欲しい」等そこまで解ってくると、もっと表現の幅が広がってきます。

この領域に差し掛かったら、別のレンズをプラスする時です。


2.こう撮ると決めた瞬間、無意識に体が動くようになった時

画角感が身に付くとファインダーを覗かなくても切り取りが出来るようになるので、こう撮るという画(え)が出来たらカメラを構えながら無意識に体が動くようになります。

これは完全に体に染み付いた証拠ですから、これも次のレンズを買い足すタイミングだと言えます。


3.フラストレーションが溜まって、写真を撮るのが嫌になった時

この状態になったら元も子もないので、無理せずに自分の欲求を尊重してあげましょう。
別にゴールがあるものでは無いので、ストイックになる必要はありません。


単焦点レンズが上達に及ぼす影響はここまでです。

色んな人が色んな論議を醸し出していますが「単焦点レンズを使うと写真が上達する」というのは半分は正解ですが、それが全てでは無いというのが事実です。

単焦点レンズが上達に及ぼす影響は上達の一要素である「画角」のみなので、それ以外の要素は他の方法も取り入れていく必要があります。

ここでは他の要素もざっとお話しておきます。


「何を撮るか?」を意識する事

いわゆる「主役を明確に」という事ですが、この「何を撮るか?」に関してはそれを含めた更に大きな概念の事を指します。

これが1番の原点であり、他の要素はあくまでも二の次です。
と言うよりもこれが決まらないと他の事も決めようがありません。

参考:
写真でよく言われる「主役を明確にしましょう」を具体的に説明します
重要な事なのに、あまり語られないのが残念 「写真は光だ!」「いやいや、写真は構図でしょ!?」等、人によっても写真の重要な要素というのは意見が分かれるものです。(時にはケンカになる事も…) 色んな意見がありながらも、全員が...


「光」「脇役・背景」「構図」

何を撮るか?もしくは主題が明確になった後にはじめてこれらの方向性を決める事が出来ます。(光とは光線と露出の両方の事を指します)

いずれ記事にするつもりなので、ここではこれだけに留めておきます。


まとめ

それでは最後にこれまでの内容をおさらいしておきましょう。

・写真の上達の要素は「何を撮るか?」を原点として、「光」「脇役・背景」「画角」「構図」の事である。

・画角感というのはその画角の視野(フレーム)と遠近感を自分の眼にするという事で、一番手っ取り早いのは眼にしたい画角に固定して撮り続ける事である。

・これが「単焦点レンズを使うと写真が上達する」と言われている所以である。

・しかし写真上達の要素は他にもあるので、これが全てでは無い。


最後に ズームレンズをお使いの方へ

今回のテーマである「単焦点レンズで写真を上達させる方法」というのは、単焦点レンズでしか写真が上達しないという事ではなく、数ある上達法の中の1つであり、一要素に過ぎません。

ズームレンズの上達法を推している方もいらっしゃいますし、上達する方法は無数にあるのでしょう。

1つのやり方である程度上達したとして、その人はそれで上達した訳ですから、わざわざ1から別の上達法を試す様な事はしません。
1人につき上達法は1パターンというのが基本ですから、自分が上達した方法以外の上達法に関しては無知であり未知というのがほとんどです。

写真界において「ズームか単焦点か」に関しては非常に揉めやすいテーマであり、時には大ゲンカになる事もあるので、書き加えておきました。


ちなみにこんな記事も書いています↓
カメラ界でよく見る対立構図
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